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業界インタビュー

CSS Nite主催 スイッチ鷹野雅弘氏

2007/06/19

2007年7月15、16日に開催されるウェブクリエイター向けイベント「Web標準の日々」を前に、CSS Niteを主催している株式会社スイッチの鷹野雅弘氏に、ウェブ標準を取り巻く状況やCSS Niteのこれからの展開についてうかがってみた。

聞き手

デジパ 両見、平澤

両見

ウェブサイト制作のほか、本もお書きになり、セミナーイベントも主催されていますが、そもそもウェブに関わるきっかけは?

鷹野

高校生の頃からミニコミを作って文章書いたりレイアウトしたり、広告営業したりみたいな、その手のことが好きで、DTPには自然にはまりました。理工学系でコンピュータを勉強したり、美術系の学校を出ているわけでもないのですが、エディトリアル系のグラフィックデザインが自分のベースなんです。

インターネットが出てきたときには、パソコン販売店で働いていました。ソリューション営業というか、手厚いサポートをウリにしていたので、お客様の要望で接続のサポートをしたり、ちょっとしたウェブページを作ったりしていたんですが、ウェブはメディアになるなと、ひらめいてからずっと追いかけていますね。

両見

CSS Niteはどんないきさつでスタートされたんですか?

鷹野

ちょっとしたつてでアップルストアの方から声がかかり、単発で何回かDTPやウェブのトピックで銀座のシアターで喋ったんです。そこそこ人がはいったこともあって「連続ものやってみませんか?」というオファーを頂いて、「自分が聞きたい人を呼んできて、その人に喋ってもらおう」みたいなことを考えたんです。ちょうど、CSSレイアウト、ウェブ標準、アクセシビリティといったテーマが熱くなってきたタイミングだったこともあり、3回の予定だったんですが、6回、1年とだんだん伸びて、結局、この3月まで18ヶ月、マンスリーで開催しました。

「知的探求心の私利私欲」って呼んでいるんですが、ひとりのウェブサイト制作者の視点で自分の聞きたいことや気になる人を追いかけてみたところ、それが皆さんに響いたのでしょう。もちろん、各回のゲストの方の知名度も手伝って、特にお金をかけずに集客することができました。

鷹野雅弘氏写真
(上記画像左側)スイッチ鷹野雅弘氏(同右側)CSS Nite 公式ブログ

平澤

イベントにはいろいろな人が集まってますね。

鷹野

そうですね。ウェブの世界は本当に動きが激しい。突然新しいものが出てきて、いままで学んでいたものが時代遅れになるのは日常茶飯事。いくら勉強をやってもやりきれない。でも「やるんだったら楽しくやろう」と面白がって取り組んでいる人たちが集まっているように思います。

コーダーとかマークアップエンジニアと呼ばれるような職種にはクリエイティビティは必要でないみたいなことを言われたりといった状況がありますが、実際そんなことありませんよね。確かに、ソースコードまで評価するクライアントはあまりいないけど、マークアップという作業は単純な作業ではありません。

ワークフローの最後の方にいるためにスケジュールのしわ寄せを受けていたり、社内で孤独に戦いながらキャリアパスも見えないといった状況で、「あ、僕ってこうなっていくのかな」、「私の目指すところはここかもしれない」とかロールモデル(目標)が見えたり、「なんだ、みんなここで困ってるんだな」みたいな共感を得ることをができる「場」としてCSS Niteが機能したみたいなんですね。

あと、益子貴寛さんや長谷川恭久さんなど、業界を引っ張る「スター選手」が、フレンドリーでオープンマインドだというのもポイント高いかもしれません。いわゆる「クリエーター系」の人種とは、まったく違う「バイブ」があります。

平澤

「ウェブ標準」に関してはどのようにお考えですか。

鷹野

ブラウザ戦争の結果、1990年代後半はサイトを作る際、ブラウザごと異なるバージョンを作ってJavaScriptで分岐させるといった手法が一般化していました。「でも、これって、ナンセンスだよね」とブラウザベンダに働きかけをはじめたのが「WaSP(The Web Standards Project)」です。

その拠り所が「W3C(World Wide Web Consortium)」によるWeb標準です。文書構造を意識したマークアップや、CSSによるビジュアル情報の制御に関するテクが、ものすごいスピードで収れんされたという功績は大きいですが、あまりガチガチに準拠する必要はないのではと個人的には考えています。全体のワークフローや、日々の更新作業がスムーズに行われることの方が重要です。

インタビューの様子写真
(上記画像左側から)デジパ平澤、デジパ両見、スイッチ鷹野氏

両見

「ウェブ標準」は重要なテーマではないということですか?

鷹野

「ウェブ標準」が一過性のムーブメントで終わるとは思いませんが、ここへ来て、またブラウザごとの独自性みたいなことが追求されだしていますよね。CSS、JavaScript、Ajaxなどのテクノロジーは重要ですし、自分自身もコーディングはじめるとハイになって作業しますが、「ユーザーとの接点」こそがウェブで重要なことだと考えます。職種に関わらず、マーケティングなどの視点や、アクセシビリティ/ユーザビリティ、UX(ユーザー・エクスペリエンス)といった観点を持つことが不可欠です。

平たくいうと、自分がひとりのユーザーとして利用するときに、ウェブはもっともっとよくなれるんじゃないかと思うんですけど、そのベースとして、ソースコードはやっぱり軽視できません。

両見

コードをきれいに書くことを目的にするのではなく、もっと上の目的に向かってコードを書くことですね。

鷹野

自分たち制作者がいて、クライアントがいて、その先にクライアントのお客さん(Client's customer)がいる。報酬はクライアントから発生するので、ついついクライアントの言うことを聞きそうになっちゃうんですが、それだけじゃダメですよね。実際には接点はないかもしれないけど、その先の「クライアントのお客さん」をおろそかにすることはできません。「クライアントのお客さん」の気持ちにどれだけ想像力を働かせるか、を考えながら、その先の「クライアントのお客さん」って、自分自身であったりすることが多いのもウェブのおもしろいところです。

両見

注文フォームでのユーザビリティは売上に直結しますから、クライアントの利益に影響しますよね。

鷹野

まさにそうですね。いまだに送信ボタンとクリアボタンの位置はマチマチです。

あと、サイトのスタートページは「ホーム(HOME)」なのか「トップ」なのか、こんなこともまだブレたままですし、文字サイズを大きくするボタンも。あるサイトでは「A(標準)」「AA(大)」「AAA(さらに大きく)」、また別のサイトでは「小」「中」「大」とマチマチです。並び方や順番、文言が違うと迷いやミスが生じます。「ウェブ標準」みたいなテクノロジーよりも、こういったことこそ早急に標準化されるべきではないかと常々思っています。

日本ウェブ協会(W2C)という団体が「日本語のウェブの質を向上させる」をスローガンに活動をはじめていますが、どこまで踏み込んでくれるのか、その動きに注目しています。

両見

ウェブの仕事のおもしろさ、とはどの辺でしょうか?

鷹野

ウェブの案件は、クライアントから言われたことをカタチにするだけでなく、こちらから提案してナンボのものです。ところが、提案を聞いてもらうためには、クライアントと同等、あるいはそれ以上の立場にならなければなりません。双方が意見を出し合って、自分の考えたこと以上のもの、思いもしなかったところに行くことが仕事の醍醐味ですが、それを一番実感できるのがウェブの仕事です。

インタビューの様子写真

平澤

最後に「Web標準の日々」について教えてください。

鷹野

昨年7月に、CSS Niteのスペシャルイベントとして「The Day of Web Standards[Web標準の日]」というイベントを開催したんです。今年は2日間で行うので「日々」かなと・・・。

前回は1会場のみで500名。今回は、秋葉原のデジハリ関連の施設を中心に、3会場同時に9トラック同時進行、70セッションをご用意し、のべ1300名を動員目標にしてます。これだけの規模ですので、主催は私の会社名義になっていますが、実際は、安藤さん(ネクサスアドバンスセミナー)、益子さん(サイバーガーデン)、植木さん(インフォアクシア)、名村さん(ソナー)、原さん(fxb)などをコアメンバーに、実行委員会的なノリで進めています。

名前は「Web標準の日々」となっていますが、「ウェブ標準と、その周辺事情+アルファ」といったゆるいとらえ方をしています。これ以上ない位の豪華な講師陣を揃えましたので、「Web業界のフジロックフェス」といったニュアンスで、お祭り的にたくさんの方にご参加頂ければ嬉しいです。

両見・平澤

デジパからも両見がWebのタイポグラフィに関するセッションを担当するほか、デジパとしても協賛させていただくことになりました。本日は、お忙しいところありがとうございました。

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