ソーシャルブックマーク「Buzzurl」のこれから
2008/02/08
価格比較サイト「ECナビ」、ソーシャルブックマーク「Buzzurl」を展開している宇佐美進典氏に、昨年の New Industry Leaders Summit (NILS) にて発表された新サービス「Buzzurl PLUS」(2008年春頃リリース予定)や、2008年の気になるポイントについてうかがった。
- 市嶋
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そもそもBuzzurlはどういう経緯で始められたものなのでしょうか?
- 宇佐美
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2年半くらい前のことですが、当時従業員140人くらいと規模が大きくなったことで、既存の組織の中で新しいことをやろうとしても各部署との調整に手間取るようになりました。ちょっとベンチャーらしさがなくなり始めていると感じたので、モノを作る人たちが何を作りたいか、自分たちで考えて実際アウトプットまで作れる別な組織を切り出して、そこからベンチャーらしさを生み出していけたらという想いで、ECナビラボを作りました。
ECナビラボでは「いま何があるのか」とは全く別にゼロベースで考えます。合宿してブレストし、作り込みまで行います。そのなかからソーシャルブックマークを作ろうという発想が出てきました。
僕らはいままでコミュニティっぽいサービスは作ったことがなかったんです。どちらかというとオペレーションをちゃんとやること、たとえば検索用データベースを作って検索できるようにするとか、商品のデータベースを作って情報を提供するとかはやっていたんですが、ユーザーが中心となるコミュニティっぽいサイトを作っていくことはなかったんです。しかしそういった部分は今後より重要になっていくという中で、いろいろ取りかかってみたい。「検索と共有」の「共有」の部分を入れたということです。
- 市嶋
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私はBuzzurlは「ECナビ人気ニュース」(Buzzurlのリニューアル前のサービス)が開始した頃から存じておりまして、最初の頃はECナビ本体との連携をはかろうとしていたと思うのですが、最近はそれが弱くなっていますよね。
- 宇佐美
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そうですね。それぞれ別々になってきました。
- 市嶋
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今後はまたシナジーを生ませたいという方向になるのでしょうか。
- 宇佐美
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サービスとしてのシナジーという部分でいうと、もう直接なくてもいいかな、と思っています。下位データベースの部分はつながって共有できているのでそれでいいかなと。
あと、コミュニティの盛り上げ方であったり、情報を共有するやり方そのものは、シナジーの中で今後応用できると思います。直接Buzzurlの中でシナジーの部分と何かをリンクさせて……となると、結局今のBuzzurlの中に作られている、そこはかとないコミュニティの部分(笑)とは違うので。

- 市嶋
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性格が違いますよね。ECナビは自分たちでデータベースを作って、それを検索できる仕組みとして利用していただく。一方Buzzurlはユーザにオープンにデータを集めてもらって、それをユーザーに広めてもらう。でも、そのうちきっとどこかである方向に向かっていくと思います。もしかしたらBuzzurlの方が、情報の整理・構築という面で中心になるのかなと思うのですが。
- 宇佐美
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そうなればいいのかなと思います(笑)。ビジネスの話とは全然別なのですが、もっとためになる情報がちゃんと集まる仕組みにしたいなと思っています。
というのも、今Buzzurlの中でもかなりスパム投稿が増えています。いわゆる群衆の英知みたいな部分、本来みんながいいというものはいい、というもののはずが、そうではなくなり始めています。そういった部分をもう一度本来あるべき姿にする仕組みにしていきたいと考えています。
- 市嶋
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先頃発表された新サービス「Buzzurl PLUS」というのは、そうした部分と関わって出てきたものなのでしょうか。
- 宇佐美
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ECナビのスタッフはBuzzurlを結構使っていて、お互い読者登録をしているわけですが、だんだん会社の中で同じものに興味のある人たちがブックマークに集まってくる。結局ためになる情報というのはある程度そういう集団ごとに分かれてくると思います。それを無理に大きな器でやろうとするから、欲しい情報がなかなかない。ですから、そうした集団を自由に作れるようにしていこうというのがBuzzurl PLUSの考え方です。
- 市嶋
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Buzzurlのトップページにある「特集 マーケティング SEO関連エントリー」がキッカケでしょうか。
- 宇佐美
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そうですね。たとえば「はてなブックマーク」はエンジニアの方が多く使っているので、エンジニアの集まりのようなところが大きくなっていると思います。集団というのは1つのものが大きくなり過ぎてしまうと、本当に欲しい情報がなかなか集まりにくくなる、あるいは見えづらくなります。そこで集団ごとが浮き彫りになるような仕組みを作っていきたい。
もともとは、社内ソーシャルブックマークみたいな、そういう感じで使えればいいよね、ということを考えていました。同じ会社の中でたまっている情報とそうでない情報。1つの記事に対していろいろな集団の中でブックマークされたときに、この集団の中で何人にブックマークされていて、全体では何人にブックマークされているというのが分けて見えるようにしたい。20人の集団のうちの10人ブックマークしているけれど、全体としてみるとほかはだれもブックマークしていないとか。
- 市嶋
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もともとBuzzurlは他社と比べて「読者登録」を前面に出してきましたが、そういうグループというものを最初から意識されていたのでしょうか。
- 宇佐美
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後発でソーシャルブックマークに参入する中で、先行しているところとどう差別化をはかるか、というのが大きな命題としてありました。最初の時点ではECナビ人気ニュースにあるように、ニュースの部分で特化したら書かれるのではないかと思い、ニュースのブックマークをしていくというところで情報を集めていこうとしました。やっていくなかで、ブログであったりニュース以外の部分をブックマークする人がある程度いたので、ニュースというところだけじゃない部分でBuzzurlとしました。
「読者登録」というカタチで個人をベースに集団ができるようにしていたものの、Buzzurlを使っている人全体と、個人で「読者登録」している人の間に何かあるんじゃないかなと。そこをBuzzurl PLUSでやっていきたいと思っています。
ミクシィは全体は大きなかたまり、集団ですが、そのなかにコミュニティがたくさんあります。いまからミクシィに対抗するSNSを作ってユーザが集まるかというと、なかなか集まらないと思います。そうしたときに大きな集団を作ってやるのではなくて、最初から小さなコミュニティをベースにして、たとえば「犬好きの人」のコミュニティとか、そういうSNSを作れるようなプラットフォームを提供する、これをブックマークでやろうという考え方です。ただ会員データベースとか何をブックマークしたかというところは共有していきます。

(上記画像左)宇佐美進典氏、(同右)デジパ 市嶋
- 市嶋
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あくまでBuzzurlの上に乗ってやっていくということですね。
- 宇佐美
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そうです。ただ集団・グループごとに別のソーシャルブックマークができているみたいな感じです。そうすることによって、スパムがあっても全体への投稿であって、小さなところへの投稿はなくなると思います。もともとのところで、グループに入る人を限定したカタチでやっていけば。するとためになる情報が集団・グループごとに集まって、全体としてのスパムもだいぶ排除されると思います。
- 市嶋
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SEOというところに注目して「投稿するといいですよ」ということで、変なツールを販売してみたいなことがありますから。
- 宇佐美
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最近社内では「掃除人制度」というのがありまして、従業員の中でもBuzzurlをヘビーに利用している人がスパムをチェックしていくというのをやっています(笑)。
- 市嶋
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Buzzurlを膨らませていくというのもあるのでしょうけど、ECナビとして何か新しい取組みをしていますか。
- 宇佐美
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いまのところあまり考えていないですね。どこかで何かつながるとは思うのですが、まずはBuzzurlをもっと盛り上げていくことですね。この手のサービスというのはやってみなければ分からないんです。運営の仕方であったりとか、ノウハウの部分で。
- 市嶋
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BuzzurlやBuzzurl PLUSはどういった方に利用してほしいですか。
- 宇佐美
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ネットのリテラシーがある程度高くて、エンジニア層というよりはマーケティングを担当する人であったりとか、ビジネス寄りの人たちに使ってもらえればと思っていますが。
あとBuzzurl PLUSは会社であったり、事業部であったり、部署単位であったり、会社で使ってもらえたら一番いいと思います。
- 市嶋
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今後どうしていくみたいな部分は。
- 宇佐美
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Buzzurlはまだクリティカルマスを越えていないと思っていますので、これを越したら考えようと思っています。いまの10倍、会員数30万人になってからですね。
- 市嶋
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競合に比べるとコミュニケーションを生む仕組みが整っていると思います。たとえばレスポンスをつけるとか、このあたりはもっとアピールしてもよいのかなと思います。
ところで2008年注目していること、あるいは今年起こりそうなことを予想していただきたいのですが。
- 宇佐美
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今年はですね。スパムだと思います。ありとあらゆるところでスパムとの戦いが繰り広げられると思います。ネットには性善説をベースとした部分があるのですが、そういう中に入ってきているスパムをどう乗り越えていくか。検索の部分でもそうですし、もしかしたら技術的なイノベーションで解決するというやり方もあれば、そうじゃないところで解決していくやり方もあります。
いずれにしても、いまはちょうど岐路に立っている思います。スパム対策をどれだけできるかによって、もっと便利になるか、それともならないかが分かれると思います。
- 市嶋
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たしかに深刻ですよね。
- 宇佐美
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たとえばブログとかにしても、かなりスパムブログが多いですし。スパムメールが入るようになってメールが使いづらくなったのと同じように、ウェブ中にもスパムによる影響が出ています。
- 市嶋
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ソーシャルな仕組みをとればとるほど、スパムとは紙一重になってきますが、そうなると「この情報はスパムではなく、人の目を通して出てきているものです」というラベルを誰かが貼る仕組みが必要になります。そういう意味で、Buzzurlの「人がブックマークして『これはいい情報です』とラベルを貼ること」で、スパムに対抗する手段になってほしいと思います。
仕事上ブログ検索を利用する機会がありますが、最近は定量的な部分ではほとんど使い物にならないですしね。
- 宇佐美
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ブログのテキストマイニングとかもう使えないですね。結局スパムをはじかないと。いまは通常のエントリーとスパムをミックスして投稿するツールがたくさん出てきているので。
今年はスパムとの戦いですね。Buzzurlにとっても。僕も掃除人として毎日スパムと戦っています(笑)。あとは集団でという部分と「この人」というところ、トラストランクみたいな部分でやっていくともう少し良くなっていくと思います。
- 市嶋
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お忙しい中ありがとうございました。



